【専門家インタビュー】ザスパ群馬 青木トレーナーVol.3「数値による可視化で分かった、筋肉量や体重管理と睡眠の質の関係性」

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2023年シーズン、ザスパ群馬はプレーオフには届きませんでしたが、チームの躍進の裏側に、フィジカル及びリカバリー戦略の大きな変化がありました。今回はその躍進の裏側を支えていたフィジカルコーチの青木豊さんに、2023シーズンの振り返りをお聞きしました。

前回の記事はこちら→【専門家インタビュー】ザスパ群馬 青木トレーナー Vol.2「前日練習参加率という指標、"逆ソフトクリーム理論"実現のため疲労を分類しデータで管理」

RLスタッフ:さきほどの、疲労の分類をするというのは非常に面白いなと思いましたし、脳疲労の可視化もされていますね。

青木コーチ:そうですね。脳性の疲労については、映像での戦術ミーティングや振り返りミーティングが結構あるので選手も情報も沢山入ってきます。また、試合のプレッシャーのみならず、オフザピッチでのイベントも多くあります。ストレスマネジメントもサイクルに取り入れたいとは思っています。リカバリーや休養の必要な要素のほぼ8割は睡眠に依存していると考えていますので、睡眠に関しての知見・情報が重要なのですが、そこまでこだわっている選手はまだ少ないと思っています。私としては、今後アスリートの1番伸びしろがある部分だと感じています。

RLスタッフ:睡眠の重要性は言われ始めていますが、青木さんはデータ含めどのような見解をお持ちですか。

青木コーチ:睡眠はパフォーマンス向上の一番の土台と考えています。いくら良いトレーニングや良い食事を摂っても睡眠が安定しないとパフォーマンスアップは望めないと考えます。
筋肉量や体重の管理はプロスポーツでは重要な要素の一つですが、例えば、体重が増えないことに対して、意外と睡眠が重要だと考えています。

こちらの資料を見ていただきたいのですが、筋肉量と身長の比率が指数20を超えている人数になります。これ超えると身体に質量があることなります。見るとシーズン当初は3人しか20を超えてはいなかったのですが、シーズン後半で10人を超えています。大体、海外で通用する選手や、J1の選手はこの指数が20を超えていますので、多くの選手の身体が大きくなったことになります。

Lean Mass Index(LMI)=アスリート指数

また、パフォーマンスの部分では、公式戦の42試合の強い加速と強い減速の回数と、練習における加速と減速の平均で、これは動きの強度を示すものになります。

チーム全体としては夏場の試合では暑熱下で、強度は落ちるのが自然な傾向です。しかし、練習では年間を通して、練習強度を保つ事ができました。個人では、筋力が増えた選手は、強い加速や減速の数字が高くなるという知見が得られました。

※オレンジが強い加速数、灰色が強い減速数、青色が練習における加速と減速の平均

RLスタッフ:先ほどの「逆ソフトクリーム理論」によるチームの成長ですね。

青木コーチ:ただその中でも、何人かの選手は逆に筋肉量が減っています。その選手のデータを見ていくと、少し睡眠の質に課題がありました。

RLスタッフ:具体的な事例があればお聞かせください。

青木コーチ:顕著だったのが、新加入の若手の選手でした。試合に出られないことやキャリアへの不安などから、プレッシャーやストレスがどんどん増えていたのだと思いますが、睡眠時間は多く確保できているのに、睡眠の質が悪かったんです。そして疲労状態になり、トレーニングがこなせない、筋量が増えない、強度が出ない、試合に出られない、またストレス溜まる、というサイクルに入っていました。なので、休むことが重要だと思いましたし、このような状態の選手こそ、睡眠を含めたリカバリーを積極的に取り入れられるよう導いてあげたいと思っています。

RLスタッフ:最後になりますが、ザスパ群馬としてのリカバリーコンセプトでVENEXリカバリーウェアの役割をお聞かせください。

青木コーチ:活用させてもらえるシーンは2つかなと思います。1つは、治療の部分ですね。チーム全体として、ホーム・アウェイ関係なく、治療中にメディカルスタッフがVENEXのトレーナーズクロスを使わせてもらっています。特に自律神経へのアプローチに注目していまして、専門性のあるスタッフが、内臓や脳脊髄へのケアをしてもらっています。副交感神経に入りやすくなるツールと手技との相性がよく、選手の実感としても好評です。

RLスタッフ:ありがとうございます。

青木コーチ:もう1つは選手個人の休養時のところですかね。リカバリージャージを提供いただきましたが、選手はクールダウンやホテルの中、場合によっては家で使っていたりします。後は、近場のバス移動時はリカバリージャージを着ています。実は昨年、選手会のルールを変えてもらって、近場の移動に関してはチームウェアじゃなくてもOKにしてもらいました。

RLスタッフ:ありがたいお話です。青木さんからご提案していただいたのですか。

青木コーチ:いいえ、これは選手からの要望なんです。元々VENEXのリカバリーウェアを使っていた選手もいましたし、今回ご提供いただいて、感触がいいと言う選手が多かったので、その意見が反映されました。特に細貝萌選手を筆頭に、ベテラン選手からの要望があり、そして選手会としてリカバリーに積極的になったのが大きいと思います。

RLスタッフ:選手からのボトムアップでの採用は、より嬉しいです。

青木コーチ:あと私としては、上手くリカバリーの習慣をつける象徴として、分かりやすかったこともあります。シーズン当初から、リカバリーウェアを使用したのですが、シーズン序盤に負けなしが続きました。私はVENEXの良さは知っていたのですが、選手にVENEXを通して、リカバリーの重要性やライフスタイルの確立をチームに浸透をさせる意味で、理論だけではない実感値や結果という形で伝えられ、ありがたいサポートでした。

RLスタッフ:青木コーチ、本日は貴重なお話をありがとうございます。今後も様々な情報交換をしながら、チームをサポートさせていただければと思います。

Profile

青木 豊

現職:ザスパクサツ群馬 トップチーム フィジカルコーチ
経歴:長坂フットボールクラブ コンディショニングコーチ
アイン食品サッカー部 トレーナー
もぎスポーツ整形外科クリニック リハビリ室長
株式会社BIG BEAR アスレティックトレーナー
大宮アルディージャ アカデミー アスレティックトレーナー
大宮アルディージャ トップチーム アスレティックトレーナー
株式会社ライフパフォーマンス パフォーマンスセラピスト
ザスパクサツ群馬 トップチーム コンディショニングコーチ

公式HP:
https://thespa.co.jp/
公式Instagram:
https://www.instagram.com/thespakusatsugunma_official/
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