Special edition
2022/04/21

【睡眠の日特別企画】『攻めの睡眠』のカタチを探る【第二部:前編】

3月18日、春の睡眠の日に開催したウェビナー第二部の内容をお届けいたします。

◇ウェビナー概要
タイトル:【睡眠の日特別企画】現役アスリート×サッカー日本代表フィジカルコーチ×休養学専門家『攻めの睡眠』のカタチを探る
実施日:2022年3月18日(金)13:30〜14:30
第一部:プロサッカー選手による本当は教えたくない、アスリートの「睡眠」事情
第二部:徹底討論「睡眠」をデューデリする!と題して、『攻めの睡眠』のカタチを探ります。

◇【徹底討論】『睡眠』をデューデリする!睡眠は、投資するに値することなのか。14:00〜14:40(40分)
第二部では、永井雄一郎選手と、サッカー日本代表フィジカルコーチとしてトップアスリートの身体を支える大塚慶輔氏、休養・疲労・睡眠研究でアスリートやビジネスマンをサポートする休養学専門家の片野秀樹氏が、睡眠がもたらす価値や睡眠不足のリスクについて徹底討論します。

◇はやぶさイレブン 永井 雄一郎 監督兼選手、水野 晃樹 選手
◇株式会社ライフパフォーマンス 代表取締役/なでしこジャパン兼U-19日本代表フィジカルコーチ 大塚 慶輔氏
◇医学博士/株式会社ベネクス 取締役副社長/日本リカバリー協会 代表理事 片野秀樹氏
◇ファシリテーター 日本リカバリー協会理事 春木 完堂氏



【徹底討論】『睡眠』をデューデリする!睡眠は、投資するに値することなのか。

<前編>日本リカバリー協会が調査する日本人の疲労状態の現状

春木:第二部は、なでしこジャパン兼U-19日本代表フィジカルコーチの大塚さんを中心に、トップアスリートへのサポート事情を探っていきたいと思います。大塚さん宜しくお願いいたします。

大塚氏:みなさま、こんにちは。只今ご紹介いただきました、株式会社ライフパフォーマンスの大塚です。フィジカルコーチとしては16年ほどJリーグで活動していました。永井選手や水野選手とはコーチとして対戦させていただきました。現在、なでしこジャパンのフィジカルコーチとして、来年開催されるW杯そして、2024年のパリオリンピックに向けて、チーム強化をはかっています。また、ライフパフォーマンスの方は、港区虎ノ門にパーソナル事務を展開しておりまして、現役の日本代表選手をはじめ、多くのアスリートのサポートをさせていただいております。

春木:大塚さんが運営されているジムは、運動だけではなくトータルに選手のサポートを行っているのですよね。

大塚氏:そうでうね。他のジムとの異なる点は、運動だけではなく、食事や休養など、選手のパフォーマンスにかかわる全ての生活習慣をサポートさせていただいております。今回パーソナルサポートをしているところの部分で、みなさんに睡眠についてのヒントをお話しできればと思います。

春木:大塚さんのオフィスには契約選手のパネルがたくさん飾ってあり、圧巻でした。次に日本リカバリー協会代表理事であります、休養学専門の片野の方からご挨拶させていただきます。

片野:みなさん、はじめまして。日本リカバリー協会代表理事をさせていただいております片野と申します。昨年、様々な専門家の方々にご協力いただきまして、休養の学問的体系を目指し、『休養学』という書記を出版しております。本日は休養学の立場から睡眠・休養についてみなさまに何かヒントになるようなお話ができればと思います。

春木:それでは討論に入る前に、一般社団法人日本リカバリー協会では、毎年10万人規模の疲労・睡眠などの情報を得るための調査を行っています。そちらの最速データをご覧いただき、日本の疲労状況をみなさんとみていきたいと思います。


<日本の疲労状況調査 調査:社団法人日本リカバリー協会>

2021年11月〜12月にかけて調査を実施した、日本のサッカー(フットサルを含む)行動者のデータになります。年間を通して月1回以上、サッカーもしくはフットサルを行っている方が、6.1%となり、男女別でみると男性の方の比率が高い結果となりました。これを年代別に見ると20代に関しては、(男女計となりますが)月1回以上が15.8%、30代9.8%、40代6.2%と約4割減少していく傾向があります。50代3.6%、そして60代2.2%、70代1.3%と60代70代でもやっている方がいることに驚きですが、スポーツ環境は年代を経て減っていくという傾向があります。

220421_01.jpg

ここで、もう少し掘り下げていくと、サッカーの月1回行動をされている方の疲労状態をみていきたいと思います。20代30代は、かなり疲れている方もサッカーを実施しているが、年齢を重ね60代70代になると元気な方の割合が多くなっていきます。どちらが先か...という点もございますが、サッカーをやっている方は元気であり、元気な方はサッカーができるということがいえると思います。

スポーツという行動をコロナ禍において、運動の質・量が足りないということを考えると、運動する前に元気にならないと運動行動ができないということが見えてとれそうです。


春木:このデータに関して気づきのようなものを、大塚さん・片野さんよりいただきたいのですが、まずは大塚さん、特にサッカー行動者の年代のところなどご意見いただけますか。

大塚氏:60代70代でサッカーをやられる方は元気だからやれるというのは思っています。一方で海外の文献では普通に運動をやっている人よりもサッカーをやっている人の方が、体力レベルが高いというデータもあります。サッカーをやることで健康に繋がるということが言えそうですし、20代30代の方が脱落せずにサッカーを継続してやってもらえることが良いと思います。そのような場・機械・環境の提供が大切だと感じました。

片野:まずは疲れている人の割合をみてとても驚きました。約20年前に厚生労働省が疲労研究班を立ち上げ、疲労の調査を行っておりました。その際に約6割の方が、疲れているという結果が出ておりました。そこを経て現在の結果が約7.8割になっているということは、この20年間で増加しているということです。私の立場からいうと、運動もそうですが活動の後には疲労が起こります。その疲労の後に起こるのが休養の欲求でして、その欲求に従って休養を取るのですが、その休養でしっかりと活力を蓄えたかどうか重要になります。

春木:ただ休むのではなく、休養の質が大切なのですね。

片野:活力は溜まらない休養をとって次の活動に移ると、エネルギーがたまらずどこかでオーバートレーニング症候群※1、あるいは一般ですとバーンアウト※2のような状況になってしまい、負のスパイラルに陥ってしまいます。しっかりと休養をとって効率よく活力を蓄えることが重要になってきます。特に約7.8割の方がこのまま増えないことを願うばかりです。

※1 スポーツ活動などによって生じた生理的な疲労、精神的な疲労が十分に回復しないまま積み重なり、常に疲労を感じる慢性疲労状態となること
※2 燃え尽き症候群。それまで熱心に活動していた人が、突然やる気を失ってしまうこと




中編:「睡眠や休養の時間をデューデリする」へ続く・・・



■登壇者プロフィール

永井選手プロフィール写真 ◇はやぶさイレブン 永井 雄一郎 監督兼選手
1979 年生まれ、東京都新宿出身のプロサッカー選手で、浦和レッドダイヤモンズなどで活躍しました。2003 年には日本代表にも選出されチーム初得点を記録し、ジーコジャパンの初勝利に貢献。2007 年には AFC チャンピオンズリーグ決勝で先制点を決め、大会 MVP に選出されるなどの経験を持ち、現在は神奈川県社会人リーグ 1 部で活躍する「はやぶさイレブン」に所属し、監督兼選手として活躍中。


水野選手プロフィール写真 ◇はやぶさイレブン 水野 晃樹 選手
1985 年生まれ、静岡県清水市出身のプロサッカー選手。J リーグのジェフユナイテッド市原(現:ジェフユナイテッド市原・千葉)でプロデビュー後、2005 年 U-20 日本代表(20 歳以下)に選出され、FIFA ワールドユース選手権に出場。2007 年には北京オリンピックを目指す U-23 日本代表にも選出されました。日本代表として 4 試合出場の経験、海外移籍などを経て、現在「はやぶさイレブン」で活躍中。


大塚氏プロフィール写真 ◇株式会社ライフパフォーマンス 代表取締役/なでしこジャパン兼U-19日本代表フィジカルコーチ 大塚 慶輔氏
1977 年 6 月生まれ。国際武道大学体育学部、筑波大学大学院体育研究科を修了後、アルビレックス新潟ユースでフィジカルコーチとしてのキャリアをスタート。その後、J リーグ「ジェフユナイテッド千葉」や「アルビレックス新潟」、「モンテディオ山形」、 「FC 町田ゼルビア」といったトップカテゴリーでの指導をはじめ、筑波大学附属駒場中高校サッカー部やジェフユナイテッド千葉アカデミーなど育成年代の指導も歴任。教員や研究者としての職歴もあり、豊富な知識・経験をもとに多くのアスリートの成長に寄与しています。2018 年から 3 年間「大宮アルディージャ」でフィジカルコーチ。2021 年からは、日本サッカー協会にて U-19/16 の日本女子代表フィジカルコーチ、さらに 10 月より日本女子代表(なでしこジャパン)のフィジカルコーチに就任し、日本女子サッカーの育成強化に携わっています。
▼日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
▼AFC フィットネスコーチレベル 2
▼日本サッカー協会 B 級


片野氏プロフィール写真 ◇医学博士/日本リカバリー協会 代表理事 片野 秀樹氏
1965 年、神奈川県生まれ。2005 年に株式会社ベネクスの創業メンバーとして起業する傍ら、日本未病総合研究所の未病公認講師(休養学)としての活動に取り組んでいます。さらに 2021 年には「休養」を学問として体系立てた編著書『休養学基礎』(メディカ出版)を刊行するなど、「休養」の重要性と認知度を高める活動を展開しています。


share

  • twitter
  • facebook
  • Line